内科診療所への定期通院だけでは、がん予防や早期発見に対する取り組みが不十分な場合があります。 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある場合、内科診療所への定期通院が一般的です。これらの病気に対する食生活の改善や運動は、確かにがん予防に寄与することができます。しかし、これらの対策だけではがんを予防するには不十分であり、節酒や禁煙、さらにはB型・C型肝炎ウイルスやヘリコバクター・ピロリ菌の検査と治療も重要な要素です(1)。多くの内科医はこれらを積極的に提案しますが、もし今まで機会がなかった場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。
患者様からのだるさや体重減少の訴え、または貧血がきっかけでがんが早期に発見されることがあります。 しかし、早期がんでは症状が現れないことも多いため、市町村が提供するがん検診(子宮、乳房、大腸、肺、胃)を受けることが非常に重要です。特に、子宮頸がんや乳がん検診は内科診療所では提供されていないことが多いため、女性はこれらの検診を行っている医療機関を受診することをお勧めします。
対象者 | 検査 | 間隔 | 当院で行える検査 |
20~ 69歳 | 子宮頸がん検診 (頸部細胞診) | 2年 | |
40~ 74歳 | 乳がん検診 (マンモグラフィ) | 2年 | |
45~ 75歳 | 大腸がん検診 (便潜血) | 1年 | ○ |
50~ 80歳 | 肺がん検診 (胸部レントゲン) | 1年 | △ (保険診療のみ) |
50~ 80歳 | 胃がん検診 (胃カメラ) | 2年 | △ (保険診療のみ) |
子宮、乳房、大腸、肺、胃のがん検診以外に、全ての患者様に推奨できる検査は特定されていません。 これは、検査の有効性や費用対効果などの面からです。前立腺がんのPSA検査や他の腫瘍マーカー検査、全身を撮影するPET検査は、利益と不利益を慎重に考慮した上で受けるべき検査とされています。市町村のがん検診以外の検査については、かかりつけ医との相談を通じて検討することが推奨されます。
1. 国立研究開発法人国立がん研究センター. 科学的根拠に基づくがん予防. [cited 27 Aug 2023]. Availablefrom: https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
2. 国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所. がん検診ガイドライン. [cited 27 Aug 2023]. Availablefrom: http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/list.html