受付でのマイナンバーカード提示を推奨しています。
発熱外来は上限あり、完全な事前電話受付制です。

アレルギー

スギ花粉症早期治療法の効果とは?

毎年1月頃になると、テレビなどのメディアでスギ花粉症に備えて早めの治療を勧める報道を見ます。私は今までスギ花粉症の早期治療(初期療法)をあまり重要視しておりませんでした。スギ花粉の飛散がはじまり、質問されることが多くなってきたので改めて確認することにしました。

スギ花粉症治療の初期療法の研究は、1986年の奥田らの論文が最初の報告とされています。ケトチフェン(抗ヒスタミン薬)をスギ花粉飛散開始2~4週間前に内服開始すると、スギ花粉飛散初期の症状が有意に改善することがわかりました。しかし、スギ飛散開始から1週間以上経つと初期療法の効果は徐々に少なくなりました(1)。

鼻アレルギー診療ガイドラインでも、Clinical Qustion 6としてスギ花粉症の初期療法が有効か検討されています。その結果、第2世代抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬による治療は、スギ花粉飛散前に少しでも症状がでたときか、スギ花粉飛散開始時(花粉飛散予測日)に治療することを勧めていました(2)。

私の結論としては、スギ花粉症の症状を花粉飛散初期からしっかりと抑えたい方やスギ花粉症の症状が重症な方は、スギ花粉飛散開始2週間前から薬を開始してもよいでしょう。一方、多くのスギ花粉症の方は、症状が出始めたときかスギ花粉飛散開始の報道があったときに薬を開始すれば十分間に合うと考えます

1) 奥田 稔, 古内 一郎, 佐々木 好久ら. スギ花粉症に対するケトチフェン季節前投与の予防効果. 耳鼻咽喉科展望. 1986; 29 (Suppl 3), 277-293.
2) 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会, 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会. 鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2020年版(改定第9版).東京:ライフ・サイエンス;2020.80.

関連記事