現在の保険証は今年11月まで。マイナンバーカードの作成、受付で提示をお願いします。
発熱外来は上限あり、完全な事前電話受付制です。
GW休み:4月27日午後~29日、5月3~6日

内科

お腹がぽっこりした方のやせ薬 (市販の内臓脂肪減少薬)

本記事は、大正製薬株式会社からオルリスタット製剤の内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得のお知らせ(1)を受けて、文献を参照し、まとめたものとなります。本記事作成時点では、日本における内臓脂肪減少薬「アライ」の添付文書を一般の医師が確認できる状態にはありませんでした。このため、本記事と将来公開される内臓脂肪減少薬「アライ」の添付文書の内容が異なる可能性があることをご理解ください。

一般医薬品としてのオルリスタットは、2007年頃より米国をはじめとする70カ国以上で承認されていました。一方、今まで日本では承認されていませんでした。このたび、日本で発売される内臓脂肪減少薬「アライ」は腹部が太めな方(腹囲 男性85cm以上、女性90cm以上)の内臓脂肪や腹囲の減少を目的としております(1)。「アライ」は本来腸で吸収されるはずの脂肪を便として捨てることで内臓脂肪や腹囲の減少が期待できます。

オルリスタットはどの程度の効果があるのでしょうか。オルリスタットの内服によって、2.5~3kgの体重減少が期待できます。また、体重減少に伴い、血圧・脂質・血糖も改善することがあります(2, 3)。ただし、オルリスタットの内服のみで体重が減るわけではなく、食事と運動習慣の見直しが必須です。

オルリスタットにも副作用があります。腹痛、便がもれる、便を伴うおならといったお腹の症状が15~30%の方にみられ、オルリスタットを中止する原因になりえます。稀ですが重篤な肝障害の報告もあります。
また、脂肪の吸収を抑える薬であることから、脂溶性ビタミン(ビタミンA, D, E, K)の吸収も抑えられます。例えば、ビタミンD不足は骨粗鬆症の原因となります。このことから海外ではオルリスタットと一緒に、マルチビタミンの内服が推奨されています。
さらに、妊娠、胆汁うっ滞、吸収不良症候群などの禁忌事項があったり、レボチロキシン(甲状腺ホルモン剤)やシクロスポリン(免疫抑制薬)、ワーファリン(抗凝固薬)などの薬と併用注意があったりします(2, 3)。

内臓脂肪減少薬「アライ」は医師が病院で処方する薬ではなく、薬局で薬剤師が対面で情報提供や指導を行いながら販売する薬です。薬局で購入できますが、服用1ヶ月前から腹囲・体重の記録が求められるなど、気軽に飲んでみる薬ではなく、しっかりと体質改善に向き合うことができる方向けの薬となります。

  1. 大正製薬株式会社. 内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得のお知らせ. [cited 22 Feb 2023]. Availablefrom: https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230217001239.html
  2. Erlandson M, Ivey LC, Seikel K. Update on Office-Based Strategies for the Management of Obesity. Am Fam Physician. 2016;94(5):361-8.
  3. Leigh P. Obesity in adults: Drug therapy. In: UpToDate, Post TW (Ed), UpToDate, Waltham, MA. (Accessed on Feb 22, 2023.)

関連記事