2022年4月から、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種が再度すすめられるようになりました。
子宮頸がんは年間1万人が罹患し、約2,800人が死亡しています。
30歳代で子宮頸がんになる人もおり、仕事や妊娠に影響を与える可能性があります。
17歳になる前にHPVワクチンを接種すると、子宮頸がんになるリスクが88%低下するという報告があります。また、17~30歳でHPVのワクチンを接種しても、53%のリスク低下が期待できます(1)。
このため、HPVワクチンを接種することをおすすめします。
サーバリックス | ガーダシル | シルガード9 | |
予防するHPV | 2種類 | 4種類 | 9種類 |
予防する疾患と HPVの種類 | 子宮頸がん・肛門がん(16, 18型) | 子宮頸がん・肛門がん(16, 18型) 尖圭コンジローマ(6, 11型) | 子宮頸がん・肛門がん(16, 18型) 尖圭コンジローマ(6, 11型) 子宮頸がん(31, 33, 45, 52, 58型) |
接種費用 | 定期接種 | 定期接種 | 定期接種 |
接種回数 | 3回(0, 1, 6ヶ月) | 3回(0, 2, 6ヶ月) | 9~14歳 2回(0, 6ヶ月) (※) 15歳以上 3回(0, 2, 6ヶ月) |
その他 | 肛門がん・尖圭コンジローマ予防として、 9歳以上の男性に自費で接種可 |
副作用 | 接種部位の痛み、発赤、腫れ だるさ、発熱、失神、頭痛、関節痛、筋肉痛、吐き気、下痢 稀に、アナフィラキシー |
一時期、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種によって重篤な症状が起こったのではないかという報道がされました。これについて厚生労働省研究班の調査では、HPVワクチンとの直接の関連はなかったとされております。また、HPVワクチン接種歴があり何らかの症状を認めた方に認知行動療法という精神療法を行ったところ、156人中115人(73.7%)の症状が軽くなったり、消えたりしたという経過も報告されました(1)。さらに、WHOから予防接種ストレス関連反応(ISRR)という概念が提唱されました。ワクチンの種類に関係なく、ワクチン接種前後のストレスによって様々な症状が起こります。これを予防するために接種時に信頼できる人が同席する、座ったり寝転んだりして接種を受けるといったことが有効とされています(4)。
※岡田内科・小児科の予防接種に関するページはこちら
1) 日本産科婦人科学会. 子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために. [cited 30 Mar 2022]. Availablefrom: https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
2) J Tomas C, Joel MP. Human papillomavirus vaccination. In: UpToDate, Post TW (Ed), UpToDate, Waltham, MA. (Accessed on May 29, 2022.)
3) Renee R. Human Papillomavirus (HPV) Vaccine. Dynamed. (Accessed on May 29, 2022.)
4) ISRR 「予防接種ストレス関連反応」について知っておきましょう. [cited 30 Mar 2022]. Availablefrom: https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/themes/vaccine-science/images/isrr.pdf