乳幼児健診、学校健診、職場や自治体の健診など様々な場面で尿検査が行われています。多くの方の結果は正常ですが、時に異常が見つかることがあります。本記事では代表的な異常である尿潜血(せんけつ)・尿蛋白(たんぱく)について取り上げます。
・尿潜血
健診での尿検査は多くの場合、尿試験紙法という簡易検査のみ行っています。
尿潜血を指摘された方が来院されたら、尿沈渣(ちんさ)という顕微鏡で調べる検査を行うことが多いです。
顕微鏡で行う検査で赤血球という成分が確認できれば、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)のいずれかの異常である可能性が高くなります。また、赤血球の形で腎臓の異常であるとわかることがあります。その後、年齢などを考慮して、腹部超音波検査や尿細胞診といった検査を行っていきます。
一方、顕微鏡で行う検査で赤血球がなければ、赤血球や筋肉が壊れていることによる異常などを考えます。
・尿タンパク(尿蛋白)
尿タンパクを指摘された方が来院されたら、自宅で早朝尿をとってきていただくことが多いです。
発熱や運動によって起こる一過性蛋白尿や、立っていることで起こる起立性蛋白尿と診断できれば、それ以上の検査は不要です。
一方、複数回の検査で尿タンパク陽性となる持続性蛋白尿では慎重な対応が必要となります。持続性蛋白尿は慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)の指標の1つであり、透析を必要とする末期腎不全(ESKD:end-stage kidney disease)へ移行するリスク因子となるからです。持続性蛋白尿と診断されたら慢性腎臓病(CKD)を悪化させないためにも、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の治療、禁煙や運動が重要になります。また、尿潜血を伴う軽度蛋白尿(0.15~0.49g/日)や高度蛋白尿(0.5g/日)が続く場合、病院で行う腎生検といった検査が必要になることがあります(1)。
1) 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.東京:東京医学社;2018.1-6.