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アレルギー

0歳児の牛乳アレルギー予防

2008年頃より、湿疹のある皮膚に食物がつくと食物アレルギーを起こすようになり、適切な量とタイミングで食物を食べると食物アレルギー反応がおさえられるようになるという仮説が支持されるようになりました(1)。
(注意:食物アレルギーを発症した児にとっての適切な量とタイミングの判断は医師であっても難しいです。このため、症状が出ることがわかっている食物の摂取再開は必ず小児科医にご相談ください。)

生後すぐから摂取が可能である人工乳は、早くから摂取することで牛乳アレルギーが予防できるのか。牛乳アレルギーが予防できるとしたら、いつからどのくらいの量を飲むのが適切かという点が小児アレルギー科医にとっても関心事でした。現時点で結論づけることはできませんが、ここ数年で興味深い論文が発表になっているので本記事で紹介します。

ABC study (生後3日間、人工乳を飲む研究)
アレルギー疾患をもつ家族がいる生後すぐの赤ちゃんに対して、生まれて最初の3日間人工乳5mlを飲ませました。その結果、2歳の牛乳アレルギーは、生後3日間に人工乳を飲んだ子供の13.2%、人工乳を飲んでいない子供の2.6%にみられました(2)。
この研究結果から、アレルギー疾患をもつ家族がいる赤ちゃんの牛乳アレルギーを予防するためには、生後3日間は人工乳を避けることが望ましいかもしれません。しかし、生後すぐの人工乳を避けることで脱水、低血糖、黄疸のリスクが上がるため、実際に診察される助産師・産婦人科医・小児科医の意見を優先する必要があります。

SPADE study (生後1~3ヶ月、人工乳を飲む研究)
生後1~3ヶ月の2ヶ月間、人工乳10mLを飲ませました。その結果、生後6ヶ月の牛乳アレルギーは、生後1~3ヶ月に人工乳を飲んだ子供の0.8%、人工乳を飲んでいない子供の6.8%にみられました(3)。
この研究結果から、生後1~3ヶ月の2ヶ月間は人工乳を少量飲むことで牛乳アレルギーを予防することができるかもしれません。しかし、この研究開始前、生後1ヶ月時点で518名中2名に牛乳アレルギーの症状が起こっています。このため、完全母乳で育児ができている生後1ヶ月の赤ちゃんに、牛乳アレルギー予防のために人工乳を飲ませるかどうかの判断は、小児科医と相談が必要と考えます。

当院でも母乳育児、乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの相談が可能です。赤ちゃんのことで心配なことがございましたら、お気軽にご来院ください。

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  1. Lack G. Epidemiologic risks for food allergy. J Allergy Clin Immunol. 2008; 121(6): 1331-1336.
  2. Urashima M, Mezawa H, Okuyama M, et al. Primary Prevention of Cow’s Milk Sensitization and Food Allergy by Avoiding Supplementation with Cow’s Milk Formula at Birth: A Randomized Clinical Trial. JAMA Pediatr 2019; 173: 1137-1145.
  3. Sakihara T, Otsuji K, Arakaki Y, et al. Randomized trial of early infant formula introduction to prevent cow’s milk allergy. J Allergy Clin Immunol 2021; 147:224-232.e8.

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